深夜の女性客

深夜の女性客

真夜中のタクシーに乗り込んだ女性客。その行き先は遠く、運転手の胸に不安が忍び寄る。果たして、この乗客は本当に人間なのか?

不可解な乗車と長距離の旅

深夜、東京の有楽町付近でタクシーを拾った30代くらいの女性客。長い髪で顔が隠れ、声も小さく、その様子に違和感を覚えた運転手だった。目的地は千葉県の富里と判明し、約2時間の長距離運転となることに気づいた運転手は、なぜか強い不安を感じ始めた。

車内は異様な静けさに包まれていた。運転手の問いかけにも一切応答せず、ただ黙って座っている女性客。その姿に、運転手の不安は徐々に膨らんでいった。

幽霊ではないかという考えが頭をよぎり始め、運転に集中できなくなっていった。

目的地に近づくにつれ、運転手の緊張は頂点に達した。しかし、突如として女性客が話し始め、具体的な目的地を指示してきた。

安堵したのもつかの間、料金を告げた瞬間、女性の姿は忽然と消えていた。

困惑した運転手は、女性が指定した家を訪ねる。

そこで出迎えた男性は、不思議なことに状況を理解し、躊躇なく料金を支払った。

後日、運転手は上司立ち会いのもとドライブレコーダーの映像を確認した。そこで明らかになったのは、驚くべき事実だった。

車内

映像には、乗車時から降車時まで、女性客の姿が一切記録されていなかったのである。

目で見え、声を聞いたはずの乗客が、カメラには映っていなかったという事実は、この夜の出来事が単なる錯覚や勘違いではなかったことを裏付けている。

この奇妙な体験は、現実と非現実の境界線を曖昧にし、運転手に忘れられない夜の記憶として深く刻まれることとなった。

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