スナックであるバイトをしている女性Mさんの体験です。ある日、店の準備を頼まれた女性Mさんが、薄暗い店内で目撃した恐ろしい光景とは?
その後、彼女は店のママから驚愕の真実を聞かされることになる。
不意の依頼
ある日、昼間に家で過ごしていると、バイト先のスナックのママから電話がかかってきた。
「悪いんだけど、今日の開店準備を代わってくれない?」と頼まれたのだ。いつもはママが必ず行う準備だが、その日に限って代わってほしいという。
心配になって理由を尋ねると、「ちょっと用事があるから」とだけ言われ、電話は切れた。仕方なく、いつもより早めに家を出た。
謎の二人
商店街の路地裏にある店に到着し、シャッターの鍵を外してガラス扉に鍵を差し込んだところで、ふと店内に目が行った。薄暗い店内のカウンター席に、二人の女性が座っているのが見えた。

二人とも同じ背丈で、同じような服装をしていた。
鍵がかかっているはずの店内に、どうやって入ったのか不思議で動きが止まった。
そのうちの一人がゆっくりとこちらを振り向いた。その顔には目がなく、目があるべき場所が肉で盛り上がっていた。女は目のない顔をこちらに向け、真っ赤な口を開いてにたりと笑った。
その瞬間、Mさんは恐怖で走り出し、商店街まで逃げた。
人通りの中でようやく足を止めたが、体の震えは止まらなかった。

1時間ほどして震えが収まり、ドアに鍵を差しっぱなしにしていたことを思い出して渋々と店の前に戻った。
中をのぞくと、他のホステスが開店準備をしていた。彼女の顔を見て、「ドアに鍵がついたままでしたよ。どこ行ってたんですか?」と聞かれたが、答える気にはなれなかった。
しばらくしてママがやってきた。彼女を見るなり、「何かあったの?」と尋ねた。ママはその女に心当たりがあるらしく、次のような話をした。
ママの体験
ある日の明け方、店を終えて片付けをしていたママは、ホステスを先に帰し、一人で帳簿をつけていた。
作業が終わり、明かりを全て消して店の外へ出た。ガラス戸に鍵をかけ、シャッターを降ろし始めたとき、店内のトイレの明かりがついているのに気づいた。
誰かがいるのかと見ていると、突然ドアが開き、目が潰れた女が飛び出してきた。

女は両手をママに向けて走ってきたので、反射的にシャッターを閉めて鍵をかけ、そのまま逃げ帰ったという。
その後、ママはあの女の顔が頭から離れず、朝になっても恐怖が収まらなかったため、開店準備をする気になれず、女性に連絡をしたのだという。
以前から店では、トイレに行った客が幽霊を見たと騒ぐことがあったが、酔っ払いの戯言だと誰も気にしていなかった。
しかし、ママはよほど怖かったのだろう。その日を境に、店を辞めてしまった。