辿り着けない我が家

辿りつけない

いつもの日常、飲み会の帰り道

今から20年ほど前の出来事である。神奈川県の住宅街の一軒家に妻と子供の家族で住んでいた40代のOさん。

会社へはいつも車通勤だったが、その日は会社での飲み会が予定されていたので、電車で出社した。そして予定通り飲み会があり、ほろ酔いで帰路についた。終電近くの時間だったので自宅の最寄りの駅に着いた時刻は深夜0時を回っていただろう。

駅から自宅までは徒歩で20分ほどかかるが、酔いをさますにはちょうどいいと、駅から自宅を目指して歩き始めた。

Oさんの自宅最寄りの駅は、駅前こそ商店が沢山あるが、自宅に向かって10分も歩けば田畑が見えてくるような場所だ。

深夜の畑道

普段は車通勤とは言え、長年住んでいる土地で多少酒に酔っているとは言え、道に迷うようなことはない。

自宅へ向かって歩いていて畑が横に見える道路を歩き始めて違和感を感じた。

深夜だと言うのに、畑で農作業をしているおばあさんが目に入った。

「こんな時間に?」と不思議に思ったがそんなこともあるかと自宅に向かって歩き続けた。

しかし、しばらく歩いて異変に気が付く。

歩けど歩けど、自宅につかない。そして、気が付くとおばあさんが農作業をしている道に出てきてしまった。意外と酔っているのかもしれない・・と思い、気を取り直してまたおばあさんの横を通り自宅を目指して歩き始めた。

しかし、再びおばあさんが農作業をしている道に出てきてしまった。

3回目の道

流石にこの道を通るのは三回目であるし、このまま歩いていてもまたこの道に出てしまう気がして、とても気味が悪くなり一旦駅へ戻ってタクシーに乗ることにした。

タクシーでは無事に自宅まで帰ることができたという。Oさんがあの時、タクシーに乗らずに歩き続けていたら、果たして自宅に帰ることができたのだろうか。

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